研究者 留学体験記

究者 留学体験記

小俣康徳先生
留学先紹介

私は、東京大学大学院において田中栄教授ご指導のもと次世代シーケンサーを用いた破骨細胞のエピジェネティック制御機構について研究しました(J Bone Miner Res. 2015, PLoS One. 2016)。臨床では関節外科に従事し関節リウマチに興味を持っていたので、その発症メカニズムについて基礎的な研究手法を学び深めたいと考え、田中教授よりドイツ・エアランゲン大学免疫学教室のGeorg Schett教授を紹介して頂きました。

留学の1年前より準備し、2016年1月から2018年7月まで留学しました。Schett教授は日本でもご講演される機会が多くご高名な先生でありますが、免疫学、骨代謝学全般に基礎研究、臨床分野で活躍される研究者です。PIの先生も10名程度おり、B細胞、T細胞、線維芽細胞、マクロファージ、自然リンパ球(ILC)、破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞と免疫に関わる多くの研究を手掛けています。また免疫研究に欠かせないFCM、FACS装置を数多く有し、その他最新の研究解析機器も兼ね揃えています。私はILCや腸管免疫を専門とする若手のPIであるMario Zaiss教授の研究室に所属し、ILC2と関節炎・骨代謝についての研究を行い (Cell Rep. 2018, Bone. 2020)、その他にも腸管免疫-関節炎・骨代謝関連の研究(Lucas S, Nat Commun. 2018, Tajik N, Nat Commun. 2020)や濾胞性ヘルパーT細胞と関節炎の研究(Azizov V, Nat Commun. 2020)に携わりました。Schett研究室の他のPIグループからも、ILC関連の研究(Rauber S, Nat Med. 2017)、骨代謝関連(Grüneboom A, Nat Metab. 2019 )、マクロファージ(Culemann S, Nature. 2019)、線維芽細胞(Wohlfahrt T, Nature. 2019), Th17細胞(Pfeifle R, Nat Immunol., 2017)等重要な知見となる発表が数々出されており、非常にアクティビティの高い研究室です。研究室のつながりも強く、相互協力的で精力的に研究を進めています。

エアランゲンは小さな田舎街でとても住みやすく、治安もよい所でした。ドイツ人は皆親切で子供にも優しく、住環境はとても良く整っていると感じました。またドイツ国内はもちろんイタリア、スイス、フランスなど近く、余暇には家族とともに旅行してヨーロッパを満喫することができました。私は日本リウマチ学会のJCR-EULAR若手リウマチ医トレーニングプログラムの助成を受けて留学させて頂きました。留学中の詳しい様子などは日本リウマチ学会のホームページに掲載して頂いてありますのでご参照下さい(https://www.ryumachi-jp.com/careerup-specialist/jcr-eular/a_e_report/r_14/)。また、Schett研究室にご興味のある方はぜひお問い合わせください。留学後の現在もやり取りを続け一緒に研究を進めておりますので、皆様の留学にあたり何かお役に立てることや情報提供などできましたら幸いです。

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